多くの場合、銀行員はFX、株式投資は禁止です。
正確に言うと、株式投資については、
- インサイダー情報を持ち得る銘柄の取引は禁止
- それ以外は3か月以内の短期売買禁止・取引の都度届け出必須
といったところでしょうか。
超めんどくさいですね。
この記事では、銀行員は手を出したらアウトな投資と、 銀行員でもできる投資・資産形成方法についてまとめました。
私は銀行を辞めて数年経っている身です。また、銀行によって規則が異なるので、投資する場合は最新の社則を確認してください。
銀行員が株式投資・FX取引を制限されている背景は金融商品取引法
これらの投資行動が禁止・制限されているのには理由があります。
- インサイダー取引
- 投機的利益の追求を目的として有価証券その他の売買を行うこと
上記2つが金融商品取引法により禁じられているからです。
インサイダー取引はいうに及ばず、誰しもが違反したらお縄になる法令。
投機的利益追求は、レバレッジ取引と短期売買を指しています。レバレッジ取引については、証券会社やFX業者から、口座開設段階でハネられるでしょう。
短期売買については社則で制限をかけていることが多く、取引の都度「報告」「届け出」「承認」などのプロセスを義務づけているケースが多いです。
銀行は顧客のインサイダー情報に触れやすい
株式投資については、インサイダー取引規制が背景にあります。
インサイダー取引とは、
上場会社の関係者等が、その職務や地位により知り得た、投資者の投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報を利用して、自社株等を売買することで、自己の利益を図ろうとする
JPX HP
ことで、この規制はそれを禁じています。
みんなフェアに株式投資をするべきで、ズルはだめよってことですね。
法律ですので、もちろん銀行員でなくとも適用されます。実際に上場企業のオーナーや役員がしょっ引かれるケースは珍しくありません。
ただ、銀行員はどうしても、さまざまな企業の内情に触れることができます。
インサイダー情報を入手した場合にメチャメチャ煩雑な事務処理が発生することを考えると、納得できるのではないでしょうか。
私が銀行の支店で勤務していた時は、支店で取引している上場企業株は一切取引禁止、それ以外は事前の届け出をすることで取引可能でした。
実際は「そんなことで支店長のお手を煩わせるんじゃねぇぞ。株なんてやるな」
という直属の上司からのプレッシャーがあったので、個別株取引自体が禁止みたいなものでしたが・・・
あと、上場企業のインサイダー情報に触れやすい部署にいたとき、オフィスの壁にインサイダー取引を防止するポスターが貼られていました。
ちなみにこの部署に在籍しているときは株式取引は全て禁止でした。
知人から聞いた話ですが、商工中金のような非上場の中小企業相手のビジネスをしている場合や、一部のネット銀行ではこの規制が緩いケースがあり、個別株取引でもを制限なく行うことができるようです。もちろん部署にもよるものと思いますが。
現役某地方銀行員に聞いてみたところ、上場している金融商品の取引をする場合は、都度会社への手続きが必要であるそうです。私が集めた情報をまとめると、
- メガバンク、地銀 →上場モノやレバレッジ系の投資はNG
- 商工中金、ネット銀行 →部署により上場モノやレバレッジ系もOK
といったところでしょうか。所属行の規則を確認してくださいね。
銀行員は、投機的利益の追求が禁じられている
多くの銀行の社則には、おそらくこの文言が記載されているでしょう。『行員は専ら投機的な取引をしてはならない』的な。

しかし、所属店で口座を開いて投信買わされたぞ!
投資と投機って何か違うんじゃい!
銀行の社則における「投機的な取引」とは、レバレッジ取引と短期売買を主に指します。
FXのようなレバレッジを効かせる投資は、大きな損失を被る危険があります。私も銀行を辞めてから手を出しましたが、コロナショックで50万円くらいの資金が全て溶けました。
FXで大負けして、顧客のカネに手を付けて補填するふてぇやつが実際に居たのでしょう。許せない話ですが、『銀行 着服』で検索すると様々な事例がヒットします。中でもこれは金額が大きくニュースになりました。
私は銀行員時代に何度も「顧客の印鑑を偽造、勝手に支払伝票を起こして顧客のカネを奪っていた役職者」の動画を何度も見ました。マクドナルドの財務が横領した7億円をFXで溶かした、なんてニュースもありましたね。
あとは『短期売買』ですが、目安は保有期間3ヵ月以内の売買は短期とみなされるようです。私がいた銀行では、保有期間が3ヵ月を超える場合は、申請または届け出を行ったうえで取引可能でした。
ちなみに、銀行員でも証券口座の開設は可能です。ただし、信用取引やCFD・オプション取引の口座は開設できません。

銀行員と金融商品
投資に制限を受けている銀行員でも投資できる金融商品を大別するとこんな感じです。
自由に売買可能な金融商品
- 投資信託
- 生命保険
- 外貨預金
- 制度預金
- 生命保険
などなど。
要するに、レバレッジ無し、かつインサイダーの可能性なしのものならOKです。
投信は、売買の際にめんどくさい社内手続きはありません(少なくとも私が勤めていた銀行は)。実際に、同僚で投資信託をアクティブに売買して毎月の飲み代にあてていた人もいました。しかし投資信託では個別銘柄に比べるとボラティリティが低く、大きなリターンを狙うことは難しいかもしれません。
外貨預金も当然大きなリターンは期待できず。
生命保険は投資ではありませんが、私は銀行勤めだった時は限られた利殖の手段と思って結構な額を投じていました(今は見直して大部分を払い済み保険にしています)。流動性が低いので、あまり保険に突っ張るのはお勧めしないです。
投資するのに社内手続きが必要な可能性がある金融商品
- 上場投資信託(ETF)
- 米国株
- 日本株(インサイダー情報に抵触しないもの)
証券取引所に上場している金融商品は、取引時に届出や承認など社内手続きが必要になるケースがあります。また、短期売買は禁じられているケースも想定できます。
このあたりは銀行によって変わってくると思うので、社則を確認するのが良いと思います。
たとえば非上場の中小企業を顧客とする某政府系金融機関では、上場株の取引が自由に行えると聞いたことがあります。
銀行員では投資できない可能性がある金融商品
- 日本株(インサイダー情報に抵触するもの、短期売買)
- 日本株 信用取引
- FX
インサイダー取引は銀行員に限らずNG。法律に引っかかりますからね。具体的には、支店勤務の方は取引先の上場企業の株式であったり、本部勤務の方は部署によっては全てNGになることもあります。
あとはレバレッジ取引も禁止です。口座を開くことすらできない場合もあるでしょう。
銀行員におすすめの投資方法
さて、銀行員がすこぶる投資しにくいことがわかったところでおすすめの投資です。
つまらない結論で恐縮ですが、世界株もしくは米国株のインデックス投信に積み立て投資をするのが鉄板かと思います。
あとは所属部署の雰囲気が許せば、社内手続きをしたうえで成長が期待できる個別株に長期投資をするのもいいと思います。コロナのときみたいに株価が大幅に下落したときはチャンスになるかもしれませんね。
ETFは、手続きがめんどくさい場合があるうえに投信で代用できるので、銀行員にとっては投資妙味に欠けるかと思います。
NISA・つみたてNISA・iDeCoなどの制度を利用しよう
資産形成を目的とした国の制度を利用することで、税制優遇を受けることができます。
具体的には下記を活用しましょう!
- NISA or つみたてNISA
- 個人型確定拠出年金 iDeCo
- 企業型確定拠出年金(DC)
こちらの記事にまとめたので、こちらもご参考ください。

楽天証券をお勧めする理由は、アプリが使いやすい、楽天経済圏で恩恵を受けられる、の二点です。もちろん私もメイン口座も楽天です。あと日経新聞の記事が無料で読めます(読みにくいけど)。
楽天銀行の口座も開設して「マネーブリッジ」を設定することで普通預金の金利が通常の5倍の0.1%になります。なお、マネーブリッジの設定をすると、株や投信の買い付け額が不足していた際に自動で銀行から資金を移動するスイープ機能が使えるようになります。これは必須ではないのでお好みでどうぞ(私は設定してません)。
また、楽天カードを作成して毎月カード利用で投信購入をすることで、買い回りセールなどのポイント還元率がUPします。そうして獲得したポイントを利用して投信の買い付けもできるので、効率よく投資に資金を回せます。
ポイント還元率は1%、複数カード発行可能と使い勝手がよいカードで私もメインで利用しています。まだお持ちでなければこの機会にいかがでしょうか。
【元本保証】「財形」など制度預金を活用
会社の福利厚生で、例えば財形預金に追加で利息が付く、持株会に加入することで奨励金がもらえる、という制度がある場合があります。
私がいた銀行では、財形預金に3%の金利がついていました(上限あり)。おいしいです。私は限度額までMAXの金額を積み立てて、ストップしました。
おそらく古い企業の銀行では、こういった福利厚生が残っているケースもあると思います。ぜひご活用を。
おすすめでない金融商品
ここからは、銀行員でもチャレンジできるけど、おススメではない投資方法について解説します。
株・FXに制限がある銀行員にとって、数少ない投資の選択肢ではありますが、リスクとリターンが見合っているかしっかり検討しましょう。
ロボアドバイザー
AIを活用した投資です。代表的な例はウェルスナビなど。
メリットは、質問に答えるだけで導き出されたリスク許容度に応じた資産配分にしてくれる点や、運用環境に応じてリバランス(資産配分の見直し)をしてくれる点、デタックス(損出しをして税金を少なくしてくれる)がある点。
しかし、ロボアドバイザーの年間の手数料は資産額の1%前後と割高です。しかもデタックスを行う場合はNISA適用外。最近は「おまかせNISA」というNISA枠を活用してくれるサービスが登場したようです。たぶんデタックスやリバランスをあまり行わないのでしょう。
いずれにせよ、ウェルスナビなどロボアドの中身はETFの組み合わせに過ぎません。自分でETFへ投資すれば手数料は0.1%前後です。
勉強用と割り切るならいいですが、長く投資するものではないと思います。「投資信託でいいじゃん」というのが私のウェルスナビへの感想です。
ウェルスナビのコストを検証した記事です。よかったらこちらもお読みください。

生命保険は本当に必要なだけ、もしくは所得控除の範囲内程度で
生命保険は、投資ではありません!
私は銀行にいたころ、生命保険を数少ない運用手段と見て、めちゃめちゃ加入していました。
しかし、生命保険は投資にあらず。投資をしたければ上に挙げたような投信などを活用しましょう。
もし、あなたが独身(万が一、無くなっても経済的に困る人がいない)ならば、生命保険料控除の範囲内程度でいいと思います。※詳細は国税庁のHPをご参考ください
もちろん家族がいたりして、保険の本来の目的で生命保険を契約する場合は別です。
たまに保険は不要と声高らかに叫ぶ人を見かけますが、ただのアホの子ですので安易に影響されないでください。保険は個別性が高く、どういった保険がよいかはケースバイケースです。一概に要不要が判断できる性質の商品ではありません。
ソーシャルレンディングはハイリスク/ミドルリターン
ソーシャルレンディングはおすすめしません。
そもそもリスクが高すぎるというか、正確なリスクを把握することが困難です。
銀行で融資する場合は、財務諸表を分析して、過去の取引振りを勘案して、社長や社員、会社の様子など細かくチェックしてから、審査を経て融資しますよね。
ソーシャルレンディングの案件の情報は、それと比較して満足いくものでしょうか?
それらの中には1年~数年は資金がロックされるものもあり、流動性も懸念点です。
そこそこ高利回りの案件がゴロゴロ転がっていますが、償還期限が来てもお金が支払われない事案が複数発生しております。発展途上国のマイクロファイナンスに投資するような案件など、安全であろうはずがなく。
もし、ソーシャルレンディングにチャレンジしたければ、不動産に紐づいたものであれば良いと思います。
裏付け資産が見えるので、ある程度手触り感があるかと。それでも「不動産わかんなーい」って人はやめときましょう。不動産のソーシャルレンディングで有名なのは、OwnersBookやBitRealtyなどですね。
銀行員ができる・できない投資まとめ
まとめます!
銀行員が禁止されているケースが多い投資
- 日本株信用取引
- 日本株現物取引(インサイダー、短期売買)
- FX
銀行員ができる、おすすめの投資法
- 投資信託(NISA、iDeCo活用)
- 米国株
- 日本株(取引時に社内手続が必要になる場合あり)
- 制度預金
おすすめできない投資法
- ロボアドバイザー(高コスト)
- ソーシャルレンディング(リターンがリスクに見合っていない)
- 外貨預金(資金効率と手数料)
最後に、もう一度お勧めネット証券の宣伝をして終わります。ご覧いただきありがとうございました。
私は楽天証券を利用しています
楽天証券のおすすめポイント
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