カネカ炎上に見る全国転勤制度

転職

転勤をめぐって、カネカ(4118)が炎上しました。

きっかけは、カネカの元従業員の奥様のツイート。

「育休復帰、即転勤」で炎上、カネカ元社員と妻を直撃
夫の育休から復帰後2日で関西への転勤辞令が出たーー。当事者の妻がツイッターでこう発信し、議論が巻き起...

詳細はこちらをご覧いただきたいのですが、要約するとこんな感じ。

  • 育休復帰後2日で転居を伴う転勤辞令が出た
  • 辞令の1か月前にマイホームを購入したばかり
  • 奥さん(ツイート主)は仕事に復帰する予定だった
  • 子どもの保育園が決まったばかり

私自身、タイミングの悪い転勤辞令に苦しめられ、それがメガバンクを退職したきっかけの一つです。本件についてはいろいろ思うところがあるので、私なりの意見を発信したいと思います。

ちなみに、「育休を取得したことに対する報復人事」「有休消化を認めなかった」とかが事実であれば、それについては議論する余地もないと思いますのでこの記事では触れません。

私の自分語りはこちら。

拒否権のない全国転勤は悪。いつでも辞められる準備をしよう。
私はメガバンクで6年間働きました。 退職のきっかけは、妻の妊娠中に下された地方転勤。 この記事では、...
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全国転勤強制は現代にそぐわない

私は全国転勤には反対です。

理由は、そもそも転勤する合理性が無いからです。誰が得するの?

働きやすい企業として有名なgoogleは良いチームは心理的安全が担保されているという思想で組織作りをしているそうです。

いつどこに飛ばされるかわからない、なんて安全とは程遠いですね。

全国転勤、拒否権無しという人権を無視した制度が成立していたのは、いくつかの前提があってのものです。

ちなみに、令和ではこの前提は崩れています。

前提①終身雇用

どんなに理不尽な目に合っても、会社が自分と家族の面倒を見てくれるなら、我慢できますね。

ところが今は経団連の会長やトヨタ社長が

終身雇用ムリ

と明言している時代です。

事実、東芝・富士通・SHARPなどの日本の名だたる大企業でもリストラが敢行されております。

前提②パートナーが専業主婦(主夫)

家族持ちが転勤になると、本人はもちろん家族にも大きな負担がかかります。

家族帯同であれば、奥さんは仕事を辞めないとなりません。子どもは転校を余儀なくされます。

現代では、世帯の半分は共働きです。日本人の半分は転勤になると困ってしまうわけです。

解決策としては、単身赴任がありますね。

単身赴任するとしても、2拠点生活は家計を圧迫します(社宅が割り当てられたり、手当が付く場合もありますが足りないでしょう)。

育児に関しては、おそらく奥さんが完全ワンオペになるでしょう。

「家族なんて、たまに会うくらいがちょうどいい」

と強がる単身赴任のおっさんもいましたが、そんな相手と結婚したことが間違いです。

ちなみに私の銀行時代の先輩で、結婚直後に転勤になり、(奥さんは別の会社の総合職)いきなり別居生活をしなくてはならなくなった先輩がいました。目も当てられない。

従業員と全国転勤の付き合い方

とはいえ、現実問題として全国転勤という制度は存在しています。辞令が下されれば、拒否なんてできないでしょう。

転勤アリの大企業に勤めている人はどうすればいいでしょうか?

転勤で困らない状況なら受け入れる

独身で、家族や将来を約束したパートナーもおらず、住む場所にこだわりが無い方は転勤の辞令が下っても抵抗感なく受け入れられるでしょう。

新卒の時なんかはみんなそうかも知れません。

ただし、環境は変わります

あなたにいい人が見つかるかもしれないし、子どもが生まれるかもしれないし、家を購入する意思決定をするかもしれません。

身軽な時限定のつもりで、転勤アリの企業で勤めるくらいでちょうどいいと思います。

全国転勤?むしろ色んなところに住めて楽しいだろ。そう思っておいた時期が僕にもありました。

いつでも退職できるようにする

これは、過去の自分に言い聞かせたいことナンバーワンです。

具体的には、以下のことをしてほしいです。

  • 転職サービスに登録する
  • 履歴書・職務経歴書を作成しておく
  • 市場価値を意識した働き方をする

転職サービスは、会員制求人サイト『BIZREACH(ビズリーチ)』と『Wantedly』がおススメです。

履歴書などは、エージェントさんがいい感じに修正してくれるので、相談しながらとりあえず作ってみましょう。

全国転勤の付き合い方~企業編~

上記の事情を踏まえると、全国転勤を前提としている企業は採用に苦労するでしょう。せっかく採用した人材もポンポン抜けていくでしょう。

とはいえ、すぐに「じゃあ全国転勤はやめます!」というのも難しい。今まさに地方に赴任している人もいますからね。

企業が転勤に対してこうすれば従業員も受け入れてくれるんじゃない?と思うことを書きます。

ぐだぐだ書いていますが、「従業員の理解」「金銭面・生活面のフォロー」を心がけて頂きたい。

転勤について事前に打診する

なぜ自分が、その土地に転勤しなければならないのか。合理的な理由があれば納得してもらえるかもしれません。

また、カネカの事例のように、プライベートの事情でとても転勤は受け入れられない従業員もいますので、そのあたりもヒアリングしましょう。

「家を買ったから辞めないだろう」「子どもが生まれたばかりだから辞めないだろう」なんてのは時代遅れです。普通に辞めます。しかも、その情報が拡散されれば世の中からの評価が悪くなります。今回のカネカのように(内定者は辞退の動きをしており、株価もだだ下がりの模様)。

転勤の合理的な理由を丁寧に説明し、以下についての疑問を解消しましょう。

  • なぜ自分なのか?
  • なぜその地域なのか?
  • 転勤するメリットは?(ポジションが変わりスキルが身につくとか)

間違っても、「転勤だ。来週だ。拒否権は無い。嫌なら辞めろ」みたいな伝え方をしてはなりません。

赴任手当を超手厚くする

パートナーが仕事を辞めても生活水準を落とさなくていいくらいの手当てが出れば、転勤のハードルは下がるでしょう。

それでもパートナーのキャリアは断絶されるわけですから、従業員にとっては不都合かもしれません。

保育園とかは会社が用意する

社内保育園を設けるとか、地域の保育園と提携するとか、なんでもいいです。

保育園を探して、申し込んで、とかは会社がやってあげましょう。

現地採用に切り替える

そもそも、拠点がある地方で人を採用すればいいんです。

地方には、「故郷を離れたくない!」という人が結構います。

地方の賃金水準上がるし、いいと思います。

どうしても現地で採用できないとか、マネジメントはこの人にしてもらいたい!などの事情があれば、対象者にはしっかり説明しましょう。

まとめ

全国転勤は、時代遅れの制度です。

参勤交代みたいなもんです。

従業員は転勤に対してネガティブでしょうし、転勤アリ・拒否権無し、という会社は近い将来、人材獲得に困るでしょう。

早いとこ抜本的な解決をした方がいいです。

では。

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